アレルギー性鼻炎(含 花粉症)について

以下の内容は当院院長が岐阜放送ラジオで放送されている「ラジオホームドクター」に出演した際にお話しした内容に最近のトピックスや治療法などを追加して記載されております。

 アレルギー性鼻炎という名前は、皆さん一度はお聞きになったことがあるかと思いますが、このアレルギー性鼻炎とは、何らかの原因物質に反応してくしゃみ・鼻水・鼻づまりといった症状が引き起こされる事をいいます。この原因物質の事を抗原といいますが、代表的な抗原としてはスギやヒノキなど樹木の花粉、あるいはイネ科の植物であるカモガヤやキク科のブタクサなどの雑草の花粉、その他ダニ、ハウスダスト、カビの仲間、動物の毛など実にいろいろな物が挙げられます。この中で特に植物の花粉によるアレルギー性鼻炎は「花粉症」とも呼ばれます。

 

それではアレルギ一性鼻炎の症状についてもう少し詳しくお話したいと思います。先ほどもお話しましたが、主な症状としては、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどで、特に花粉症などの場合には、アレルギー性結膜炎の症状として目のかゆみなどもみられます。他に吸い込んだ抗原がのどの粘膜に付着することによって、のどのかゆみや異和感、咳などを引き起こしたりもします。 これらの症状が、花粉が原因の場合には、その花粉が飛散する時期に一致してみられるため季節性のアレルギー性鼻炎といい、又、ダニやハウスダストなどが原因の場合には、これらは年中ありますので、ほぼ一年を通して症状がみられ通年性のアレルギー性鼻炎といます。

 

 では次に、その診断と治療についてお話ししたいと思います。くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった症状はかぜの初期症状でもみられるため、風邪だと思いこみ、ずっと風邪薬をのんでいるがなかなかよくならないといって耳鼻咽喉科を受診される方も少なからずみえます。 この様な症状のある方が受診された場合、鼻粘膜の状態を観察したり、鼻汁の性状や鼻汁中の細胞や細菌を調べたりする場合もあります。また、風邪やアレルギー以外の原因がないかを調べたり、一般にちくのう症といわれる「副鼻腔炎」という病気を合併していることもあるため、鼻のレントゲン検査を行う場合もあります。その他に、何が原因となる物質(抗原)なのかを調べるためには、血液検査によって原因抗原を調べる血清抗体検査などが行われます。これらの検査により、何に対するアレルギーがあるのかが分かります。実際にこれらの検査をしてみると、一種類の抗原だけでなくて、例えばスギだけでなくイネ科の雑草の花粉や、ダニ、ハウスダストにも反応がでるといったように複数の抗原に対するアレルギーをもっている方も多くみえます。

 

 

次は治療についてですが、アレルギ一性鼻炎に対する治療の第一は、やはり原因となる抗原になるべく接しないようにすることです。例えば、花粉症の方は、外出時にマスクやメガネをしたり、ハウスダストやダニが原因抗原の場合には、細かいフィルターを備えた掃除機でこまめに掃除をしたり、ダニが生息しやすいじゅうたんなどはなるべく使わないようにすることなどが大切だと思います。薬物療法は、現在、アレルギ一性鼻炎の治療のなかでは、中心的役割を占めており、毎食後服用するものから、1日1回の服用で良いものまで非常にたくさんの種類の薬がでています。とくに最近では、眠気の副作用がほとんどない薬もありまして、患者さん一人一人の症状やライフスタイルに合わせて薬を選ぶことができます。その他にも、点鼻薬といわれる鼻に噴霧するタイプの局所用の薬も使われ、副作用も少なく優れた効果を上げています。特に近年では、回数も11回でよく、非常に効果の高い点鼻薬も登場しており、点鼻が苦手でなければ非常に有効な治療法の一つとなっております。

 

 特に花粉症など季節性のアレルギーにおいては、その花粉が飛び始めて症状が起こってしまってから治療を開始するよりも、なるべく早期に治療を開始したほうが症状を抑えやすい事がわかっており、毎年花粉症に悩んでいる方は、花粉情報などに注意して早目の治療開始を心掛けると良いと思います。

その他、慢性的に症状が続く場合などには、漢方薬も効果的です。

 

いままでお話したような治療でも症状のコントロールが充分でない場合や、妊娠などを考えていてなるべくお薬を使用したくない方などに対して、レーザー治療という治療法があり高い効果をあげています。これは鼻の中のアレルギーを起こしている粘膜をレーザー光線で蒸散し変性させることにより、アレルギー反応を抑える治療法で、入院の必要もありませんし、治療中の痛みや出血もほとんどなく安全な治療法です。特にスギ花粉症でお悩みの方は、症状のでる1~2ヶ月位前にレーザー治療をしておくとよいのではないかと思います。

 

 また最近では、特にスギ花粉症に対する舌下免疫療法という新しい治療法が注目されています。これはスギ花粉のエキスを一日一回、舌の下に入れて一分間保持したあと飲み込むことによって徐々にスギ花粉に対する耐性をつけさせることで治療する方法で、前述の他の治療法と違って、スギ花粉を完治させ得る可能性のある治療法であるのが特徴です。(しかし、残念ながら全ての方に効果がある治療法ではない事や、即効性があるわけではなく数年間にわたって治療を続けなければいけないなどといった問題点もあります。)

この舌下免疫療法は、できればスギ花粉の飛散期以外の季節に治療を開始するのが望ましいです。スギ花粉症がひどく毎年お悩みの方は一度ご相談ください。